10年後の未来予想

私は小さい頃から妄想が好きでした。

月面のクレーターの側に立つアポロ16号の宇宙飛行士
妄想が好き、というか色々な仮定や条件が変わったらどんなことが起こるか、というような考えをしていたような気がします。当時そのようなことを考えるのは自分だけなんじゃないか、と良い意味でも悪い意味でも思っていました。後でわかるのですが、同じようなことを考えている人が意外と多かったり、内容が割と普遍的・学術的に議論されていることだったりしました。なんとなく読んでいたドラえもん星新一からのインプットも、今となっては結構刷り込まれている気がします。

数十年も前ですが、小学校の卒業アルバムで、将来何なりたいかを書けと言われました。当時は、やる気も夢もないようなごく普通の小学生だったので、医者になりたいとか野球選手になりたいとか、ありがちな夢は皆無。どう書こうか迷った記憶があります。そして、導き出した答えは、「宇宙飛行士」でした。当時親が買っていた「ニュートン」を読んでいたためか、それとも最初の打ち上げ前後だったスペースシャトルのニュースの影響か、今となっては全く記憶がありませんが、とにかく「宇宙飛行士」と書いたのです。もちろん、明確な意図も欲求もなく、なんとなく書いただけなのですが。ところが、当時の先生に「もっとちゃんと書け!」と言われたのです。従順(?)だった幼気な小学生も、さすがに、は!?、と思いましたが、特になりたいという意志があったわけでもないのと、小さな反抗の意味も込めて、「頭のいい大学に行く」と書きました。私としては、こちらの方が「もっとちゃんと書け!」なのですが、結果何も言われず、卒業アルバムにもそのように書かれていました。

時が過ぎ、「少し頭の良い大学」に行った私は、テレビで日本人の初宇宙飛行士が誕生した、というニュースを聞いたのです。卒業アルバムから、たかだか10年も経っていません。今でもなるのが難しいとは言え、一つの職業として認知されています。そのニュースを聞いて、あの時の先生がどう思ったのか、聞いてみたくなりました。もしかしたら何も考えていなかった私と、汚い字を見た上での、「ちゃんと書け」だったのかもしれませんが。

同じような話が、就職面接でもありました。こちらは30年近く経ってようやく現実的な話になっている内容です。どちらも、本人が強く思っていたわけでなく、半分思いつきで言っただけ、という点では共通しています。


ちょっと前まではありえないと思っていたことや、空想の話だと思っていたことが、意外と早く実現する、ということは、結構起こりえます。最近の宇宙関連のニュースを見ていて、そんな過去を思い出しました。何事に対しても、その時の自分の常識でなく、フラットかつ論理的に見るべきだと思った次第です。