人間が自分の力で空を飛ぶ日

もう二十年ほど昔、仕事で海沿いの崖を、ぼんやりと歩いていた時のことです。

ウミネコがたくさんいました。風の強い場所でウミネコは、一つの場所に止まって何も動かずにいます。時折思い出したように、後ろ斜め上方に姿勢を変えずに移動して行ったり、逆に前方下方に移動したりしています。繰り返しますが、姿勢自体は動いていません。もちろん羽ばたいてもいません。ずっと私の目の前周辺をうろうろしているだけです。

ふと思ったのですが、空を飛ぶのは実は簡単なことなのではないか、と。ウミネコは怠け者と言ってもいいほど、大したモーションもしていません。もちろん、理論的には前方からの風を受け、上向きの力を得たりしているのは明らかです。実質的に相応のスピードで飛んでいるのと同じです。グライダーのような大きな羽があれば人間でもホバリングできるのも、もちろん理解しています。ただ、もっと簡単に小さな機械で空を飛べるのではないか、と思ったのです。イメージは、空飛ぶ自転車です。スクーターまで行くとうるさいので、アシスト付き自転車くらいなら許します。 全く根拠がないのですが、実現できるような気がするのです。f:id:HKpanda1853:20200701115530j:plain

ドローンのようなもので空中散歩できるのは知っています。そうでなくて、人力でのんびりと空を飛べるのではないかと。ウルトラライトプレーンのようなものだと、エンジンはついていますが大したエンジンではないです。実は、空を飛ぶのに必要な力・エネルギーは、たかが知れたものではないかと思うのです。


飛行機の揚力は羽の上下に発生する圧力差、というのが一般的ですが、実はそれが主たる力ではない、と聞いたことがあります。コインシデンス効果によるものではないか、とか諸説あるがまだよくわかっていないらしいです。間違っていたらすみません。

自転車に、積層した羽(∈o∋ こんな感じ)や、同心円状の翼を付け、翼の後ろに軽い布状のものを付けたら、意外と空を飛べるような気がするのですが。あの気怠そうなウミネコにできて、人間にできないはずがない。ま、妄想ですが。

積層羽ですが、複葉機があるのだから枚数多くすりゃ飛べるんじゃないか、と思って調べたら、多葉樹というのがあるんですね。


娘と動物園に行った時のことです。プールの中にいるペンギンを眺めていました。プールといっても、透明な水槽でも、サイドから眺められるようなものでなく、普通に浅く直径10mもないようなプールです。そのプールの中でペンギンが泳いでいるのですが、これがまた涼しげにスイスイ泳いでいます。よくよく見ていると、キュッキュと方向を変えています。速度にして15km/時位出てるんじゃないかと。空を飛ぶように水の中を泳いでいます。

空気に比べてよほど粘性の高い流体中で、こんなに素早く動けるなんて。娘そっちのけで見入っていました。で、ペンギンも特に羽をバタバタさせているわけでなく、ほぼノーアクションで泳いでいます。方向を変えるときだけ、若干身動きしますがなんというか、無駄のない動きです。ここでもやはり、人間も空飛べるんじゃね?という思いを感じました。ふわふわと空を漂えて地上を眺められたら、きっと気持ち良いでしょう。